日本語の音素に気づかせたい(2)

3年生の国語で習うローマ字は訓令式です。

一方、英語でのローマ字表記はヘボン式です。
無声子音では、「し」「ち」「つ」「ふ」の表記が異なります。

「し」をヘボン式で書くと、 “shi” になります。
これは、「しゃ」「しゅ」「しぇ」「しょ」の表記に近いです。
(“Sha” “shu” “she” “sho”)

Praatで実験をすることができます。
「うし」と録音し、逆再生するとどう聞こえるか子供たちに発問します。

この授業を行うとき、「うし」→「しう」ではないことを、子供たちは知っています。”usi” → “isu” つまり、「いす」になると予想をする児童が多いです。

実際に録音し、逆再生してみると、「いしゅ」のように聞こえます。
ヘボン式で表記すると、 “ushi” → “ishu” になることが分かります。

実は、「し」は「さ、す、せ、そ」より「しゃ、しゅ、しぇ、しょ」に近い音です。
試しに、「しゃ、し、しゅ、しぇ、しょ」と言ってみても、それほど違和感がありません。
訓令式の “si” をそのまま発音すると /si/ となり、「し」の /ʃi/ とは違う音になってしまいます。
Praatを用いて逆再生の波形を見せ、聞かせることで、ヘボン式の仕組みを納得させることができると思います。

ちなみに、訓令式「し (si)」の表記は、アルファベット “a, b, c, d, e…” の “c” (/siː/)の音を表します。
日本語母語話者はアルファベットの “c” を /ʃiː/ と言いがちですが、実は “sea” (海)と同じ /siː/ です。そして、/ʃiː/ は “she” (彼女)と同じ音です(Wells, 2008)。

Wells, J. C. (2008). Longman pronunciation dictionary (3rd ed). Pearson/Longman.