ABCからCを取ったら、エビ

「ABCからCを取ったら、エービ(AB)」というテレビコマーシャルがありました。
商品の「海老」が心地よく伝わってくるメロディーに、にぎやかなで明るい食卓が表現されている素敵なCMでしたが、「ABCからCを取ったら、エービ(AB)」は元来の英語の音ではありません。
“a” の音は、 /eɪ/ 、”b” の音は /biː/ 、”c” の音は /siː/ です(Wells, 2008)。
コマーシャルで使われていた、「エー」は、/eː/、「ビー」は /biː/、「シー」は /ʃiː/ の音です。

Let’s try! We can! の巻末についているアルファベットカードの大文字は、音によって色分けがされています。
“a” の仲間は “h (/eɪtʃ/)” “j (/dʒeɪ/)” “k (/keɪ/)” で、 /eɪ/ の音が含まれています。 カードの色分け作業を通じて、子供たちは音を意識することができます。
“b” と「ビー」は同じ音のようですが、破裂の強さが異なり、英語の方が強く、VOT (Voice Onset Time) が長いです。ティッシュペーパーを口に当てると、破裂の強さの違いが意識させられます。
“c” の /sɪː/ は、Praatを用いて音素に気づかせる活動と関連付けて取り組めます。
「うし」の音を逆再生すると、「いす」ではなく、「いしゅ」になります。
/usi/ → /isu/ ではなく、 /ushi/ → /ishu/ になるからです。
逆再生して「いす」になるように /usi/ の音を練習すると、 /si/ の音を習得することができる。この音を伸ばすと、”c (sɪː)” になります。

「ABC」の3音に絞り、練習をさせるだけでも、とても楽しい授業です。

Wells, J. C. (2008). Longman pronunciation dictionary (3rd ed). Pearson/Longman.