Praat で逆再生してみよう

音声分析ソフト Praat の基礎です。
「うそ」の逆再生に挑戦してみましょう。
「うそ」の逆は何でしょうか?「そう」になるでしょうか?Praatで実験してみましょう。
Praatを起動すると、Praat ObjectsとPraat Pictureの2つの画面が起動します。今回は、Praat Objectsしか用いません。ですので、Praat Pictureは閉じても結構です。

Praat Objectsの「File」をクリックし、「Record mono Sound」を選択しましょう。キーボードのショートカットをする場合は、「Ctrl R」(macはCmd R)です。

すると、SoundRecorderが起動します。この画面で「Record」をクリックすると録音ができます。「うそ」と録音をしましょう。

録音を終えるときは「Stop」をクリックします。次に、「Save to list & Close」をクリックします。

すると、Praat Objectsウィンドウに「1. Sound untitled」が表示されます。「1. Sound untitled」が選択された状態で、「View & Edit」をクリックします。

「1. Sound untitled」が表示されます。durationをクリックすると、録音した音声が再生されます。

「うそ」の音声部分のみを選択します。選択部分のdurationをクリックすると、選択部分の音声を確認することができます。

この状態で「View」→「Zoom to selection」を選択すると、「うそ」の音声部分が拡大表示されます。キーボードショートカットは「Ctrl N」(macはCmd N)です。

いよいよ逆再生をしてみましょう。「Edit」→「Reverse selection」です。キーボードショートカットは「Ctrl R」(macはCmd R)です。

すると、逆再生されます。「うそ」の反対は「そう」ではなく、「おす」です。/uso/ の反対なので、 /osu/ になるのですね。「うそ」の「そ」は、/s/ と /o/ の2つの音素から構成されています。

キーボードショートカットの「Ctrl R, N, R」(macはCmd R, N, R)を使うと、簡単に操作できます。
「うそ」の次は、「あられ」に挑戦しましょう。「あられ」を逆再生すると・・・?

オールイングリッシュ授業の意義とは

英語の授業を英語だけで行う、オールイングリッシュの意義は何でしょうか。
高校では、「授業は英語で行うことを基本とすること」が学習指導要領 (MEXT, 2009) に明記され、平成21年3月に告示、平成25年より年次進行で実施されました。小学校、中学校は新学習指導要領が全面実施されますので、全学年一斉に変わりますが、高校は年次(学年)進行ですので、1年生のみ実施され、2年生、3年生は旧学習指導要領のままになります。
平成30年3月に告示された高校の新学習指導要領 (MEXT, 2018) でも「授業は英語で行うことを基本とすること」が明記されています。
平成29年3月に告示された中学校の新学習指導要領 (MEXT, 2017) にも、「授業は英語で行うことを基本とすること」が新たに記載されました。中学校の授業も、令和3年度からは基本的に英語で行うことになります。中学校は全学年一斉に実施されます。
なぜ授業を英語で行うことを基本とするのかは、「生徒が英語に触れる機会を充実するとともに,授業を実際のコミュニケーションの場面とするため」とされています。

「授業は英語で行うことを基本とすること」に対する賛否は両論です。岩井先生の論文(岩井, 2019)を拝読し、高校でのTEE (Teaching English in English) の現実を実感し、学習指導要領の方針についてクリティカルに考える機会となりました。

私は、英語で指示を出したり、褒め言葉をかけたりする All in English の授業に賛成です。小学校でも基本的に All in English の授業を行っています。勿論、込み入った指示や、英語で伝えられない情報があるときは日本語を使います。賛成である最も大きな理由は、より充実した授業に繋げられるからです。

向山先生は「授業の原則十ヵ条」の第三条に「簡明の原則」を挙げられ、指示や説明を短くすることの大切さを具体的に記述しています(向山, 1985)。指示や説明を短くすることの重要性は、日々の授業で実感しています。不要な言葉を削ることを意識し、実践した上でクラスルームイングリッシュを用いると、指示は短く、分かりやすくなります。

英語で指示を出すのに、英語母語話者のように流暢な英語が必要な訳ではありません。むしろ、ALTが普段通りの英語で、英語だけで指示をすると「分からない」と児童はパニックになってしまいます。とにかく英語で指示を出せば良いのなら、英語母語話者が英語教師になればよいということになってしまいます。日本人英語教師でも、思いつくまま英訳し、指示をすると「先生、何言っているか分からない」と児童に思われます。そして、指示を聞かなくなってしまいます。言葉を受け入れない状態です。
英語教師に必要なのは、児童が分かる英語を適切に用いる技量です。それには、日本語でも英語でも、不要な言葉を削り、分かりやすい言葉を選択して、組み合わせる努力が必要です。

英語教室には3年生〜6年生の児童が来室しますが、「楽しく学ぼう!」と高いテンションで来る児童がとても多いです。うれしい限りですが、高いテンションの児童に的確に指示を出すためには、言葉を極力削る工夫が必要になります。言葉を削っても教師の意図が伝わるようになると、オールイングリッシュでも授業が成立します。しかもテンポが上がり、児童の活動が増えます。

説明をする際は、児童と手本を示すことで、伝えられることが多いです。デジタルコンテンツを用いて視覚から理解させる場合、言葉が必要ないこともあります。実際に授業をしていると、 “repeat after me.” はいりませんし、 “please look at the blackboard.” 等も使いません。なくても授業が成立する言葉は、極力削ります。

「簡明の原則」を取り入れた上でのTEEなら、児童に「英語を触れる機会」を増やすことができますし、「授業を実際のコミュニケーションの場面」にすることもできます。そして、「英語だけで授業が理解できた!」と児童に自信を持たせることに繋がると思っています。

ただ、言葉を削る、分かりやすい、シンプルな指示を出すにも、教師の学習は必要です。英語として適切な表現だったか、授業後に振り返ること (refrection) は重要ですし、クラスルームイングリッシュの発音、特にプロソディは練習が必要です(先ほど不要と書きましたが、例えば blackbaord はイントネーションによって複合語「黒板」と名詞句「黒い板」と、意味が変わってきます)。
「実際のコミュニケーションの場面」を適切に再現するためには、教師自身が授業に必要な英語学の要素を学ぶことも大切だと思っています。

岩井千秋 (2019). 「高等学校指導要領に謳われた「英語の授業は英語で」の結果と影響,そして課題」『JACET関西紀要』(21), 1–22.
MEXT (2009). 高等学校学習指導要領,第3章3(エ)
MEXT (2018). 高等学校学習指導要領,第3款1(6)
MEXT (2017). 中学校学習指導要領,3(1)エ
向山洋一 (1985). 『授業の腕をあげる法則』明治図書出版.

英語の挨拶あれこれ

Let’s try! での挨拶は、 “How are you?” の返答として、 “I’m fine.” “I’m hungry.” “I’m sleepy.” “I’m happy.” が扱われています。

しかし挨拶として “I’m sleepy.” と答えると、失礼に当たる可能性があります。
親密な仲ならともかく、一般的な関係ですと「私と一緒にいるのは退屈なのかな」と思われかねません。
挨拶ですので、ネガティブなことは普通言わないですね。

そこで、 Let’s try! の表現が定着した後、ポジティブな表現を教えます。
“I’m fine.” “I’m good.” “I’m O.K.” “I’m well.” です。
ALTが “How are you.” と尋ねたとき、児童はいつもポジティブな返答をするようになりました。

さらに、 “What’s up?” “Nothing.” も扱いました。
ちなみに “What’s up?” の fist bump は、Hello song の振り付けにも使えます。

今は、”How’ve you been?” にも取り組んでいます。

まずは、 “How have you been?” の省略形で、 “How’ve you been?” という固まりのまま教えました。
ある程度定着したところで、 “How have you been?” に移行しました。省略しないのは難しいかも、と心配しましたが、あっという間に定着しました。
答え方については、本来は “I’ve been good.” ですが、まずは “good” とだけ答えるようにしています。
こちらも、 “I’ve been good.” にも挑戦させてみたいです。

気まぐれシェフゲーム

“What would you like?” の表現を定着させるため、「気まぐれシェフゲーム」に取り組んでいます。

ルール
① 児童はペアになり、「シェフ」と「客」になります。
② シェフは、Wc can! 巻末カードから好きなカードを5枚選びます。
③ シェフは、 “What would you like?” と客に尋ねます。
④ 客は、 “I’d like hamburger.” 等と、注文します。
⑤ シェフが hamburger のカードを持っていたら、客に渡します。持っていない場合、客はカードをもらえません。カードを渡した場合、すぐに1枚持ちカードに補充します。
⑥ シェフは3回 “What would you like?” と尋ねます。3回のやり取りを終えると、ペア交代です。
⑥ 次々とペアを変えていきます。一通り終えた段階で、ゲーム終了です。最も持ちカードの多い客の勝ちとなります。

ゲームを通じて、”What would you like?” “I’d like…” の表現を定着させることができます。

英字新聞 Japan News の活用

英字新聞の The Japan News を購読しています。

日頃英語を使う機会が少ないので、新聞くらいは英語でと思い、毎朝読んでいます。

月に2回(火曜日)、 News in Pictures が掲載されます。
新聞の真ん中の紙面で、見開き2ページです。
話題になっているニュースの特集が掲載されます。

例えば、2020年1月14日の特集は、オーストラリアの山火事でした。
“Staggering scale of Australia’s wildfires” という見出しです。
この記事を見て、初めてオーストラリアの山火事について知った児童もいました。

2020年1月7日は、新年を祝う様子が掲載されていました。
“World celebrates dawn of a new decade” というタイトルです。
ちょうどきりの良い年だから、このタイトルなのですね。

写真が中心なので、子供たちにもある程度理解することができます。
また、それとなく英文に興味を持ってほしいとおもっています。
掲示しておくことで、子供たちもニュースに関心が持てるようです。

マジックe

フォニックスに「マジックe」という概念があります。
こちらのサイトがとても分かりやすかったです。
英語の発音における「マジックe」の性質と使いこなし方

小学生にとって身近な「マジックe」とは何か、考えてみました。

アルファベットの “a” (/eɪ/)
age(/eɪdʒ/)
face(/feɪs/)
fake(/feɪk/)
take(/teɪk/)

アルファベットの “i” (/aɪ/) ※発音記号は Wells(2008)より
bike(/baɪk/)
five(/faɪv/)
nine(/naɪn/)
price(/praɪs/)
write(/raɪt/)

アルファベットの “o” (/oʊ/) ※発音記号は Wells(2008)より (Gen Am)
home(/hoʊm/)
joke(/dʒoʊk/)
phone(/foʊn/)
rose(/roʊz/)
smoke(/smoʊk/)
stove(/stoʊv/)

アルファベットの “u” (/ʒuː/)
June(/dʒuːn/)

スポーツメーカーのナイキも、マジックeになっていますね。
Nike

Wells, J. C. (2008). Longman pronunciation dictionary (3rd ed). Pearson/Longman.

What would you like? 店員ゲーム

“What would you like?” は、 We can! 1 Unit 8 で扱われています。
児童は “What do you like?” に慣れていますので、違いを意識させる必要があります。
返答 (reply) する際の “I’d like 〜.” の /d/ を指導する際、私はPraatを使っています。私が「ドゥ」と発音した声を録音します。

Praatで波形を表示した状態で、後半のみ再生すると /du/ の /u/ の音が確認できます。「ドゥ」は子音+母音で構成されていることが理解できます。

逆に、前半のみ再生すると、 /du/ の /d/ 音が再生されます。

そして、「ドゥ」の /d/ だけが意識できるよう、板書します。

“I’d like 〜.” の /d/ は「ドゥ」の母音(/u/)を切り離した子音だけであることを、このように視覚から確認させると、児童は発音しやすくなります。

教室には備品として、「レストランセット」があります。このセットとテキストを用いて、マスター店員ゲームに取り組ませます。

4人1組にして、一人が店員、残りは客になります。店員は「Staff」の腕章をつけ、ホルダーに入れた「店員(レベル1)」のカードを付けます。客は Hi, friends! 見開きのメニューを見て、好きな料理を選びます。
店員は、 “What would you like?” と尋ね、客はそれぞれ “I’d like a hamburger.” “I’d like a sandwich.” と一つずつ注文していきます。
店員は3人の注文を全て暗記します。全員の注文を聞き終えた後、教材の料理を提供します。
3人の料理を間違えず、注文通りに提供できれば、レベル2「すごい店員」にレベルアップします。

店員がレベル2になれば、客は2品ずつ注文していきます。計6品を暗記し、提供できればレベル3「カリスマ店員」になります。
計9品を提供できれば、レベル4「抜群の信頼」と、レベルアップしていきます。

ルールを少し変えて遊ぶこともできます。
「レベル1」〜「レベル4」のカードを予め配布しておき、商品を全て班の真ん中辺りに並べさせます。
4人の中で、順番に「店員」になっていくのですが、「店員」は自分でレベルを決めます。自信がなければ「レベル1」、自信があれば「レベル4」等です。
「店員」は客に “What would you like?” と尋ね、「客」は商品を見ながら “I’d like hamburger.” 等と注文します。店員がレベル1なら客は一つずつ商品を注文し、店員がレベル2なら2つずつ注文します。
このルールなら、全員が店員をできるという利点があります。

ゲームを通じて、 “What would you like?” “I’d like…” の対話を定着させることができます。

“What would you like?” 巻末カードゲーム

We can! 巻末にはカードがあります。We can! 1 Unit 8 “What would you like?” での活用方法です。

準備
① 食べ物のカードを全て切り取らせる。
② 4人1組のグループにする。
③ 64,65ページにメニューが載っているので、用意させる。
④ 班に教材用のお札を10枚ずつほど配布する。

ルール
① 4人のうち、1人が客、3人が店員になる。
② 店員は一斉に “What would you like?” と、客に尋ねる。
③ 客はテキストのメニューを見て、 “I’d like pizza.” 等と注文をする。
④ 店員は、 “pizza” のカードを客に渡す。
⑤ 最も早く提供した店員の勝ち。客はその店員にお札を渡す。
⑥ このように、 “What would you like?” “I’d like…” と注文、提供を繰り返す。
⑦ 客のお札が全てなくなったらゲーム終了。最も札の多い店員の勝ち。

ゲームを通じて、 “What would you like?” “I’d like…” を何度も用いますので、定着を図ることができます。

ジャンピングゲーム

たんぼのお家に「ジャンピングゲーム」を掲載しています。
ディスプレイに掲示し、教師が発音した単語を反復させながら、その方向に児童がジャンプするという簡単なゲームです。
最初の画像は、 “ice cream” と “chocolate” です。

教師が “ice cream” と言えば、児童は “ice cream” と発音しながら左にジャンプします。 “chocolate” なら、逆方向にジャンプします。
実は、 “ice cream” と “chocolate” は同じ2音節の単語です。 “chocolate” は3音節に見えますが、 /ko/ の /o/ は脱落し、 /ʈʃɒk/ /lət/ の2音節になります。日本語ですと「チョコレート」の5拍ですから、音の違いを学ばせることができます。「チョコレート」は拗音と長音が入っていますから、日本語を学習している外国人にとっても難しそうです。

次の画像は “dog” と “cat” です。

どちらも1音節ですね。

次の画像は “L” と “R” です。

“left” “right” 学習の一環として使えます。

ジャンプさせる際、同じ単語を2回連続で言う、 “left, right” と異なる単語を連続で言う、「小さく left」「大きく right」と跳び方を変える等、変化を持たせることができます。

正距方位地図から見る世界の都市

英語教室の天井に、世界の様々な都市への距離を記入した矢印を貼っています。

これは、正距方位地図を元に作成しました。

「どこでも方位図法」のサイトから、正距方位図法の地図を作成し、これを元に矢印を作成しました。

英語教室に来た児童に、世界との繋がりを感じてほしいと思って作成しました。

天井の矢印を見て気づくのは、「ニューヨーク」「リオデジャネイロ」「ロンドン」等、北方向の都市が多いことです。メルカトル図法では、アメリカは東方向にあるように思えますが、実は北(北東)方向なのですね。
昔、ニューヨークに向かう飛行機に乗ったとき、座席に備え付けられているディスプレイの地図に北東方向に向かって飛んでいることが表示され、とても不思議でした。