Let’s Try! 2 Unit 5 カード活用の仕方

Let’s Try! 2 Unit 5 “Do you have a pen?” では、巻末のカードで様々な活動に取り組むことができます。
活用方法です。

ビンゴゲーム。
①カードを切り取り、P21の枠に6枚置かせます。
②教師は黒板掲示用のカードをよく混ぜ、ランダムに選びます。その際、 “Do you have a (間をとる) pen?” のように、英文を用いて児童に提示します。
③置いたカードの中に教師が提示したカードがあった児童には “Yes, I do.” と答えさせます。なかった児童には “No, I don’t.” と答えさせます。
④カードがあった児童には、カードを裏返させます。
⑤教師は、提示した掲示用カードを黒板に貼ります。
⑥全てのカードを裏返せたらビンゴになります。

イラストをすぐに見せるのではなく、言い終わってしばらくしてから提示すると、児童は音をよく聞いて判断するようになります。

交換ゲーム
同じカードを集めさせます。
①児童に、集めるカードを決めさせます。
②児童に、集めるカード以外のカードを持たせます。
③児童は教室内を自由に歩きながら、ペアの相手を探します。
④集めるカードを友達に尋ねさせます。例えば pen のカードを集める児童の場合、 “Do you have a pen?” と相手に尋ねます。
⑤尋ねられた児童が pen のカードを持っている場合、 “Yes, I do.” と答えます。
⑥ペアで尋ね合い、互いに “Yes, I do.” と答えた場合、カードを交換します。

同じカードを集めるのは楽しいようで、繰り返し活動に取り組む様子が見られます。

“How many?” と尋ね合い、グループを作る。
① 集めた同じイラストのカードを持たせます。
② “How many?” と尋ね合い、同じ枚数のカードを持っている友達を探します。
③同じ枚数同士のグループができます。

Let’s Try! には “How many pencils?” 等、文房具まで尋ねることになっていますが、最初は “How many?” だけから始める方が定着が速いです。

Let’s Try! 2 Unit 5 チャンツの指導

Let’s Try! 2 Unit 5 “Do you have a pen?” のチャンツは、教具を用いると覚えやすくなり、楽しく取り組むことができます。

教具:巻末カードと同じイラストの掲示物、100円ショップで購入できる〇と×のプレート、指し棒

掲示物の作成方法ですが、私は巻末カードを拡大カラーコピーし、ラミネートしました。

① pen, eraser, pencil case, ruler, stapler の順に掲示します。
② “Do you have a pen?” のチャンツに合わせ、 イラストを指し棒で指します。
③ “Yes, I do.” では〇のプレートを出します。
④ “No, I don’t.” では、×のプレートを出します。
⑤ チャンツでは順に英文が流れるのではなく、行ったり来たりします。慣れるとスムーズに提示できるようになります。
⑥ 慣れてきたら、音声なし、字幕なしにも挑戦しましょう。
⑦ さらに慣れてきたら、女の子のパートは女子、男の子のパートは男子、と分けると楽しく取り組めます。
⑧ 男女逆にしても楽しいです。

「ケン」と「キャーンt」

「できる」「できない」を表す助動詞 “can” “can’t” は、聞き取りが難しい音です。

教科書のリスニング問題で “I can …” “I can’t …” が混じった発話を聞いて「できること」を選ぶ問題では、多くの児童が「分からない」と困惑していました。
何となく、 “can” は「キャン」 “can’t” は「キャント」という音だと思いがちです。ところが「キャント」の「ト」の音がほとんどしないから、難しく思えます。

私はPraatを用いて、”can” “can’t” の音を提示しました。
まず、”can” “can’t” が登場する動画を見せました。
以下の動画が秀逸です。

“WHAT CAN YOU DO?”
https://www.youtube.com/watch?v=a91oTyA0Oq8&t=36s

この動画の “I can smile.” をPraatのサウンドエディタで表示したところ、以下のようになりました。

“can” の部分のみ再生すると、「ケン」のように聞こえます。

一方、”I can’t swim.” を表示すると、以下のようになりました。

“can’t” のの部分のみ再生すると、「キャーンt」のように聞こえます。

長さを比較すると、「ケン」は約0.17秒、「キャーンt」は約0.41秒と、約2.4倍の違いがあります。
また波形を見ると、「ケン」は弱く、「キャーンt」は強いです。

つまり、”can” は「ケン」という音になり、短く弱い音です。
“can’t” は「キャーンt」という音になり、強く長い音です。

日本語でも、肯定するときは普通に話しますが、否定するときは強めに言いますね。
(例:同じ注意をするとき:肯定「廊下を歩きます」 否定「廊下を走りません」)

LongmanのPronunciation Dictionary (Wells, 2008) を確認すると、以下のようになります。
can → strong form [kæn] weak form [kən]
can’t → [kænt] ※アメリカ発音、[kæn] ※子音の前(母音の前もあり得る)
canと違い、弱形はないと明記されています。

“can” が「ケン」、”can’t” が「キャーンt」で、ある程度近い音になっているといえます。”can’t” に関しては、「キャーンt」と板書しながら /æ/ 音の発音を聞かせると、児童はかなり近い音を発音できるようになると実感しました。

また「キャント」の「ト」が聞こえにくいのは、次の子音や母音と連結するため、聞こえにくいのではなく、そもそも /t/ の音がないことも分かります。つまり、 “can” “can’t” の弁別は語尾の /t/ ではなく、母音の音質と母音長で行われていることになります。

Longmanに明記されているように “can” の弱形が「ケン」なので、 “Yes, I can.” のcanは「ケン」ではなく /kæn/ になります。ですので、”can” は強形、弱形、どちらも練習する必要があります。
「”Yes, I can.” の”can” が聞こえたら『できる』の意味だ」と考えていると、確かに “I can…” “I can’t…” が混在している文で児童は混乱してしまいますね。

なお、Longmanによるとcan’t のイギリス発音は[kɑːnt]で、この音も動画の中に登場します。

Wells, J. C. (2008). Longman pronunciation dictionary (3rd ed). Pearson/Longman.

一輪車、自転車からの小話

光村図書出版 Here We Go! 5 Unit 5 に一輪車 (unicycle) と自転車 (bicycle) が登場します。

単語を分解すると、理解させやすくなります。

  • cycle (サイクル) は車輪を指します。子供たちからは「リサイクルや!」の声が上がりました。
  • bicycle は自転車です。biとcycleに分け、「biは2を表す」ことを伝えます。biが2として使われている例には、bilingual(バイリンガル:2カ国語を話せる人)が挙げられます。車輪が2つだから、bicylceになるのですね。
  •  unicycle は一輪車です。「uniは1を表す」ことを伝えます。uniが1として使われている例には、unicorn(ユニコーン)が挙げられます。車輪が1つだから、unicycleです。
  •  この規則を使うと、三輪車も表現できることを伝えます。三輪車は、tricycleになります。「triは3を表す」ことを伝えます。triが3として使われている例には、triangle(トライアングル)が挙げられます。
  •  児童からは、「四輪車はないの?」という質問ができます。四輪車は、 quadricycle になります。「quadは4を表す」ことを伝えます。「クワッド」と呼ばれる日米豪印の4カ国枠組みがニュースになっていましたので、「聞いたことがある」と言う児童もいました。

なお、「リサイクル (recycle)」の「リ」とは、「再び」を表します。廃棄物や不要品を工夫して資源とし、再利用して循環(サイクル)させるから「リ・サイクル」ですね。

語順カードの使い方

光村図書出版 Here We Go! 6 Unit 5では、語順を扱うカードがあります。
私は以前作成したシートを用いて、語順について気づかせる活動に取り組んでいます。

動詞のカードは、 like, want, have, play の4つがあります。
シートには “I” が3つ縦に並んでいますので、その下に “I” のカードを置かせ、4つの動詞カードを置かせます。

  1. 「好きなカードを使って、英語の文章を作りましょう」と指示をします。すると児童は、「私」「好き」「ハンバーガー」のようにカードを並べ “I like hamberger.” の文を作ります。
  2. 「並べたカードを、日本語になるよう並べ替えましょう」と指示をします。すると児童は、「私」「ハンバーガー」「好き」のように、動詞と目的語のカードを入れ替え、「私はハンバーガーが好きです」の文を作ります。
  3. 「日本語は他の並べ方でも文になります。他の並べ方を考えましょう」と指示をします。児童は戸惑いますが、「ハンバーガー」→「私」→「好き」のように並べ、「ハンバーガーを好きなのは私です」のような文を作ります。
  4. 日本語は助詞があるため語順に融通が利きますが、英語は語順を変えると意味が通らなくなることを伝えます。
  5. 「カードを、4つ全ての動詞で使えるカード、3つの動詞で使えるカード、2つの動詞で使えるカード、1つの動詞でしか使えないカードに分けましょう」と指示をします。
  6. 答えは以下の通りになります。
    “like”, “want”, “have”, “play” の4つ全てで使える → 楽器のカード
    “like”, “want”, “have” の3つで使える → 食べ物のカード
    “like”, “play” の2つで使える → スポーツのカード
    “like” 1つしか使えないカード → 水泳のカード
    “I like swimming.” はOKですが、 “I play swimming.” とはいいません。
    “I swim.” となります。 “swim” は自動詞だからです。

語順カードを使って、言葉の特徴に気づかせることができます。