部活動における club と team (以前の記事に追記しました)

光村図書 Here We Go! 6 Unit 9 では、中学校生活がテーマとして扱われています。
部活動の表現として、 “team” と “club” があります。
Club
・ art club, computer club, dance club, drama club, kendo club, newspaper club, science club
Team
・ baseball team, basketball team, soccer team, track team, volleyball team

「クラブ」と「チーム」の違いは何でしょうか。
児童に尋ねると、様々な考えと反論がでます。

・ クラブは「文化部」、チームは「運動部」 → 「剣道部」は運動部では?
・ クラブは「屋内」、チームは「屋外」 → 「バスケットボール」「バレーボール」は屋内では?
・ クラブは「個人」、チームは「団体」 → 「陸上部」は個人では?

ALTに確認したところ、部活動は「クラブ」という大きな枠があり、その中の「競技的な (competitive)」ものは「チーム」になると感じる、とのことでした。

では、「剣道は競技では?」という疑問があります。
「剣道は武道 (martial arts) だから、競技とは異なる」との答えでした。
ALTの考えを伝えると、児童も納得できたようでした。

この考えを使うと、教科書に挙げられていない部活にも応用できます。

・ tennis は? → 競技だから “team”
・ table tennis は? → 競技だから “team”
・ judo は? → 武道だから “club”

ちなみに、 kendo はイタリック体で書かれています。理由を尋ねると、「日本語だから」と即答できました。では、「judo は?」と尋ねると、ほとんどの児童は「イタリック体になる」と答えます。
実は、柔道はイタリックになりません。教科書の以前のページに扱われていたのですが、柔道は英語となっていますので外来語扱いにはなりません。

以前用いられていていた We Can! と比較すると、面白いことに気づきます。 Here We Go! では dance club ですが、 We Can! では dance team になっています。児童に紹介すると、「おかしい」という意見が聞かれます。

ALTに尋ねると、「楽しむための団体はクラブであり、競技で勝つための団体はチームだと感じる」との答えでした。
確かに、Here We Go! のイラストは「ダンスを楽しんでいる」感じがあり、 We Can! のイラストでは「同じユニフォームを着て競技に参加している」感じがします。

“Where is the gym?” の授業を実施してみて

光村図書 Here We Go! 5 のUnit 8 “Where is the gym?” の授業を実施して感じたことです。
中学年外国語活動教材 Let’s Try! 2 や, 以前高学年外国語活動で使われていた We Can! 1 では、 “Turn right.” “Turn left.” “Go straight.” しか用いられていません。We Can! 1 では交差点ごとに点があり、 “Go straight.” で点まで移動するという手法で道案内をしています。「右に曲がってください」「左に曲がってください」「まっすぐに行ってください」の3つの表現のみです。

参考
道案内の目印シール
Where is the treasure?

一方、Here We Go! では “Go straight for two blocks.” “Turn left at the second corner.” “You can see it on your right.” 等、表現が増えています。「2ブロック直進してください」「2つ目の角を左に曲がってください」「右側に見えますよ」等、実際の道案内で使われるであろう表現が扱われています。
この単元では、表現のみでなく、概念、語順を指導する必要があります。

まず、「ブロック」という概念が、日本語にはあまりありません。コンパスローズ英和辞典によると、blockとはstreetで囲まれた1区画を指します(下図参照)。

2ブロック先を右折する指示は、 “Go straight for two blocks. Turn right.” となります(下図参照)。交差点と交差点の間は1ブロックなのか、2ブロックなのかが少し分かりにくく、図で見ると「1.5」ブロックに見えますが、自分がいる場所も「1ブロック」に入りますので、2つ先の角は2ブロック先になります。

1ブロック先の(次の)角を曲がるときは、すぐ角ですから “Go straight for one block.” とは言いません。”Turn right.” で伝わります(下図参照)。
※ “one block” は言わない、というのはポイントになります。

では、目的地が次の位置にある場合(下図参照)、どう表現するでしょうか。

右折してから2ブロック先に目的地があるので、右折してから “Go straight for two blocks. You can see it on your left.” となります(下図参照)。図で見ると1.5ブロックに見えますが、2つ目のブロックなので、 “two blocks” になります。

では、目的地が次の位置にある場合(下図参照)、どう表現するでしょうか。右折してから1ブロック目なので、 “Go straight for one block.” は言いません。単に “You can see it on your left.” となります。

「ブロック」の表現を練習させた後、 “Turn right at the second corner.” を指導します。日本語の感覚からすると、「2つ目の角を曲がってください」と言う方が自然に思えます(下図参照)。

簡単そうですが、この表現には3つの難しさがあります。
1つ目として、序数を使うということです。 “One, two, three…” はすぐに言えても、 “First, second, third…” はちょっと考えないと発音しにくい児童が多いです。
2つ目として、日本語は「『2つ目の角を』『左に』曲がってください」という語順ですので、 “second corner” “turn right” の語順で言いがちです(それでも通じますが)。
3つ目として、「語順が逆になる」と意識すると、”Turn right” と言った後、しばらく考えてから “at the second corner.” と言いがちなので、聞いている児童は「1つ目の角?」「2つ目の角?」と混乱します(下図参照)。
“Turn right at the second corner.” は一続きで成立する文なので、途中で切ってしまうと “Turn right.” として認識されてしまいます。

“Turn right at the second corner.” の文は、発音するのには難しさがありますが、聞くだけならこちらの方が簡単です。
「2つ目の角を曲がってください」という言い方は、「ブロック」の表現を練習し、充分に聞いた後、挑戦させる方が負担が少ないようです。

各社の教科書を見てみると、ブロックの表現が使われているのは、Here We go! 5 (光村図書)、NEW HORIZON Elementary! 5 “Where is the post office?” (東京書籍)、 CROWN Jr. 5 “Try 道案内” (三省堂) でした。
“Turn right at the second corner.” (2番目の角)の表現が使われているのは、Here We go! 5 (光村図書)、NEW HORIZON Elementary! 5 (東京書籍)、 CROWN Jr. 5 (三省堂)、 ONE WORLD Smiles 5 “Where is the station?” (教育出版)でした。