「食べ物」の強勢 その2

Let’s Try! に登場する果物,野菜で,強勢位置に迷うことがあります。そこで,整理しました。

最初の音節に強勢がある
Blueberry
Mushrooms
Melons
Peaches
Cabbages
Apples
Pineapples
Cherries
Carrots
Cucumbers
Strawberries
Oranges
Kiwi fruits

後の単語に強勢
Green peppers (peppersの第一音節に強勢)

真ん中の音節に強勢
Bananas
Potatoes

Blueberryは複合語 (Compound word) なので,前の単語 (blue) に強勢があります。Green peppers は名詞句 (Noun phrase) なので,後の単語 (pepper) に強勢があります。では,Kiwi fruits は?
Kiwi fruits は一見名詞句ですが, “kiwifruit” というスペルもある通り,複合語扱いになります。ですので,前の単語 (kiwi) に強勢があります。
Pineapples は, “pine” と “apple” が合わさって複合語になっていますね。ですので,前の単語 “pine” に強勢があります。

Bananas, Potatoes は3音節であり,真ん中に強勢が置かれます。これは, “How are you?” の,無標の発音と相通ずるところがありそうです。

「色」が入っている「食べ物」の強勢

3,4年生の教材である Let’s Try! には,食べ物が扱われています。色が入っている食べ物はいろいろありますが,強勢が前だったか,後だったか,迷ってしまうことがあります。そこで,整理しました。

前に強勢 (複合語: Compound word)
Blueberry

後に強勢 (名詞句: Noun phrase)
Green pepper
Green tea
Red wine
White bread
Black coffee
Yellow curry
Brown sugar
Pink lemonade

色繋がりですと,Black board は,前に強勢があると黒板 (blackboard: 複合語),後ろに強勢があると黒い板 (black board: 名詞句) になります。

White House は,前に強勢があるとアメリカ大統領官邸 (White House: 複合語),後ろに強勢があると白い家 (white house: 名詞句) になります。アメリカ大統領官邸は,最初の文字が大文字,白い家は小文字なので,文字からも分かりますが・・・。

English teacher は,前に強勢があると英語教師 (複合語),後ろに強勢がイギリス人の教師 (名詞句) になります。

カルタでの,アゴゴドラム活用

英語カルタは,とても盛り上がります。
カルタは楽しいだけでなく,語彙の練習につながります。
ところが,カルタを読み上げると児童から歓声が上がりすぎて,次の札を読めないことがあります。
都度注意をして,静かにさせるのは授業のリズムが悪くなりますし,せっかくの楽しい雰囲気を損なってしまいます。

私は,アゴゴドラムを活用しています。
アゴゴドラムには,低,高,2つの音が出せる太鼓があります。

私は次のように使っています。
①リズムよく,低を8回叩きます。すると,徐々に静かになります。そして,高を2回叩きます。
②カードを読み上げます。
③児童がカードを取ります。すると歓声が上がります。

このルーティンの繰り返しです。
低が8回鳴ると,「次に進む」の合図になります。
高を2回鳴らすと,「読む」の合図となり,児童は聞く準備を整えます。 注意しなくても,児童は静かになります。

このルーティンに慣れれば,次の方法も使えます。

“Put your hands on your head.” と指示をして, 児童に頭の上に手を置かせます。
その際,教師も手を頭に置きながら,アゴゴドラムを上方向に向けて持ちます。
①の低を8回ほど叩く際,手を頭につけながらアゴゴドラムをたたきます。そして,高を2回叩きます。

この方法を使うと,児童は自然と手を頭につけます。教師にとって難しいのは,アゴゴドラムが見えないことです。これは,慣れればできるようになります。

備忘録 音声分析アプリ

AmPitch
パソコンのマイクを通じて,ピッチを即時に表示させられます。クロームブックでも使えますので,授業でも活用できそうです。

WASP2
音声ファイルをアップしたり,録音したりすることで,手軽に音響音声分析を実施できます。

いずれも Mark Hackvale 氏作成のアプリです。本当,すごいです。

Starmino PuzzlesLoopy Puzzles
こちらも Mark Hackvale 氏作成。クロームブックでも楽しめます。ハマります。

ProsodyPro
Praatのスクリプトです。自分でスクリプトを組まなくても,文レベルで正規化処理をすることができます。

Prosogram
Praatのスクリプトです。人間の聴覚に近い形で,ピッチ変化を描画することができます。

“I can’t” のイントネーション

“can” “can’t” の違いは,主に音質と母音長にあります。 “can” =「キャン」 “can’t” = 「キャント」と思っていると,「ト」の音が聞こえず,聞き違えることがあります。これは, “can’t” の /t/ の音が弱く, /o/ の音もないからです。ですから,聞き取りには,音質と母音長の違いに着目させる必要があります。子供だけでなく,大学生からも「聞き分けが結構難しい」という声を多く聞いてきました。
発話する際は,もう1点,イントネーション (ピッチ変化) も重要です。
日本語は頭高のピッチ変化をすることが多いので,英語でもついつい “I” のピッチが高くなりがちです。肯定文 “I can swim.” は “I” のピッチが高くても意味が通じやすいですが,否定文 “I can’t swim.” では難しくなります。否定文では “can’t” は強い強勢になりますが, “I” のピッチが  “can’t” より高いと,焦点を当てることが難しくなります。
授業では, “I can smile.” “I can’t swim.” の,それぞれ3語のうち,どの語のピッチが高いと不自然か,発問し,声を出させます。おかしいのは, “I can smile.” → “can,” “I can’t swim.” → “I” です(核強勢の位置については,いったん置いておきます)。「日本語でも,肯定するときはサラッと話をするけど,否定するときは,『できません』を強く言う」ことを確認します。そして,対話活動などを通して定着を図ります。
否定文 “I can’t” の発音が上手な児童の特徴として, “I” のピッチが低いこと, “can’t” のピッチが高く,母音長が長いことが挙げられます。ですので, “can” “can’t” の文では,イントネーションの練習が大切です。ところが,児童の音声を一人ずつ録音させ,確認してみると,どうしても “I” のピッチが低くならない児童が一定数います。無意識の内に頭高ピッチパターンになっており,母語の影響の大きさを実感します。「もっと “I” のピッチを下げて・・・」と,個別に指導する必要があります。このピッチ指導は,音楽の授業に相通ずると思っています。
考えてみれば,例えば “I can’t dance.” の文章は “can’t” の /t/ と “dance” の /d/ が連結するため, /t/ の音そのものが消失することが多いです。 “can’t” の /t/ の音だけに依存しないためにも,音質と母音長,そしてイントネーションに着目させる必要があります。

Can you? の導入

5年生で “Can you swim fast?” “Yes, I can.” のような,助動詞 “can” を用いた対話を学習します。児童にとっては初めて “can” を用いる表現で,他動詞,自動詞があり,副詞がありで,慣れるまでは難しいです。教科書ではいきなり「できることを尋ね合おう」などの活動があるかもしれませんが,ハードルが高いといえます。

YouTubeには,以下の楽しい動画があります。

Updated! Lesson 11: Can & Can’t English Grammar Cartoon – “WHAT CAN YOU DO?” “I CAN…?” by Studycat

この動画では,ナレーションが “Can you?” と何回も問いかけてきます。
そこで,初めての対話活動では,教科書のイラスト指さしながら “Can you?” と尋ね合うこともOKとします。すると,どの児童も楽しく活動することができます。単元を通じて慣れてくると,フルセンテンスで発話できる児童が増えてきます。

また,以下の動画も楽しいです。

Sports, actions and Can/Can’t

Praatを使って, “can/ can’t” の母音長の違いを提示する授業に発展させることもできます。