備忘録 音声分析アプリ

AmPitch
パソコンのマイクを通じて,ピッチを即時に表示させられます。クロームブックでも使えますので,授業でも活用できそうです。

WASP2
音声ファイルをアップしたり,録音したりすることで,手軽に音響音声分析を実施できます。

いずれも Mark Hackvale 氏作成のアプリです。本当,すごいです。

Starmino PuzzlesLoopy Puzzles
こちらも Mark Hackvale 氏作成。クロームブックでも楽しめます。ハマります。

ProsodyPro
Praatのスクリプトです。自分でスクリプトを組まなくても,文レベルで正規化処理をすることができます。

Prosogram
Praatのスクリプトです。人間の聴覚に近い形で,ピッチ変化を描画することができます。

備忘録 二元配置分散分析

交互作用に有意な差がある場合,単純主効果が表示される。

< SIMPLE EFFECTS for “A x B” INTERACTION >
(タイトル→) Effect W approx.Chi df p LB GG HF CM
B at a1 0.5817 10.2936 2 0.0058 ** 0.5000 0.7051 0.7427 0.7215
B at a2 0.9945 0.1112 2 0.9459 ns 0.5000 0.9945 1.0982 1.0698
LB = lower.bound
GG = Greenhouse-Geisser
HF = Huynh-Feldt-Lecoutre
CM = Chi-Muller s

これは球面性検定。有意な差がある場合,単純主効果にε補正がかかる。上記の場合,5年生 (a1) にε補正がかかる。6年生 (a2) は「5%水準で有意差が認められなかったため,常に球面性の仮定が支持された」状態である。
※ 5%をギリギリ超えた状態でも,ε補正が若干かかる。

(タイトル→)Source SS df MS F-ratio p-value eta2 p.eta2 G.eta2
A at b1 1.8172 1 1.8172 0.1693 0.6829 ns 0.0041 0.0041 0.0041
Er at b1 440.0433 41 10.7328
A at b2 364.2454 1 364.2454 21.0288 0.0000 *** 0.3390 0.3390 0.3390
Er at b2 710.1732 41 17.3213
A at b3 79.9154 1 79.9154 7.5087 0.0091 ** 0.1548 0.1548 0.1548
Er at b3 436.3636 41 10.6430
B at a1 38.0952 1.41 27.0149 2.1053 0.1520 ns 0.0702 0.0952 0.0702
s x B at a1 361.9048 28.2 12.8321
B at a2 493.9394 2 246.9697 14.6910 0.0000 *** 0.3135 0.4116 0.3135
s x B at a2 706.0606 42 16.8110

この場合,1学期 (b1) において5,6年生 (A) の差がなく,5年生 (a1) において1,2,3学期 (B) の差がない。文章には,有意な差がなかった項目のみ記載し,p を報告する。

なお,学期 (B) の主効果に有意な差がある場合,学年 (A) 全体(5,6年生)の平均と標準偏差の表が必要になる。

備忘録 Google Formsの小テストをExcelで計算する際の小技

Google Formsからスプレッドシートに回答を集計すると,小テストのスコアが分数表記されています。例えば,10点満点中8点ですと,「8/10」と表記されます。
このままをエクセルにペーストすると,「8月10日」のように処理され,得点として計算することができません。
そこで,スプレッドシートの得点列右に,新しい列を挿入します。
次に,得点列を選択し,「データ」→「テキストを列に分割」,そして「区切り文字」を/(スラッシュ)にします。
すると,得点と満点が別の列に表示されるので,Excel上で数値として扱うことができます。

Praat備忘録 Picthエディターで修正された一点のピッチを,セミトーンで取得する方法

Pitchの外れ値を修正する場合,Picthオブジェクトを作成し,Pitchエディターを用いて,オクターブアップやダウン,手修正を用いて,本来あるべき値に戻します。

その後Praat objectsから「save」し,「Query」を用いて値の参照をします。また,Scriptを組んで値を書きだしたりします。

一点だけの値を求める場合,生周波数 (Hz) ですとPicthオブジェクト上で「Get pitch (F5)」を用いてすぐに値を得られますが,セミトーンなど,正規化された値を求めるのは「save」しなくてはならず,少し手間です。

そこで,求める値以外を全て「Unvioce」にします。「Group」をチェックすると,サウンドエディターと連携できて分かりやすいです。

上図では複数箇所選択していますが,実際には一点だけ選択します。

そして,「File」→「Pitch info」を用いることで,その値の正規化された数値が算出されます。
算出される値は,生周波数 (Hz), Mel, semitones above 100 Hz, ERB, です。
手早く値を求めたいときに便利です。

Praat備忘録

Praat備忘録  その1
Praat 6.2.14ではサウンドエディターから選択範囲の時間を求めるために開始時刻と終了時刻から計算をしていましたが,Praat 6.3.03 (以降) では「Time」のタブができていて,便利になりました。DurationやPauseの時間を計る際,便利です。

Praat備忘録 その 2
Praat 6.3.03と,6.4.07ではピッチ曲線の出力結果が異なります。

Ver. 6.3.03 (Pitch setting 100-400Hz)

Ver. 6.4.07 (Pitch setting 100-400Hz)

パルスの結果も異なっています。

6.4.07 はデフォルト設定でも聴覚で確認した音に近く,Pitch setting を変えるとより聴覚通りの音に表示されるようです。

備忘録 Prosody Proの使い方

Prosody Proの使い方についての備忘録です。
スクリプトファイル (_ProsodyPro.praat) をダウンロード。
任意のフォルダを作成し,スクリプトファイルをフォルダ内に移動させる。
分析したい音声ファイルもフォルダ内に移動させる。

「1. Interactive labeling」を選択すると,フォルダ内のwavファイルを検出し,テキストグリッドを作成できる。複数ファイルがあるときは,テキストグリッドの記述を終えた後「next」をクリックする。
テキストグリッド記述後,諸データが作成される。
「ファイル名.actutimenormf0」「ファイル名.actutimesemitonef0」は,テキストグリッドの各項目内を10カ所に分け,実際の時間とfoが抽出されたタブ区切りテキストファイル。縦方向に記述される。

「3. Get ensemble files」を選択すると,以下の分析結果がそれぞれtxtファイルで出力される。

Ensemble files saved (以下,拡張子は全て.txt)
1) normf0txt
2) normtime_semitonef0
3) normtime_f0velocity
3a) normtime_f0acceleration
4) normtimeIntensity
5) normactutime
6) maxf0
7) minf0
8) excursionsize
9) meanf0
10) duration
11) maxvelocity
12) finalvelocity
13) finalf0
14) meanintensity
15) samplef0
16) f0velocity
16a) f0accleration
17) maxf0_loc_ms
18) maxf0_loc_ratio

「normf0.txt」には,「ファイル名.actutimenormf0」の時間の記述がなく,生周波数のみ記述される。「normtime_semitonef0.txt」は同様だが,セミトーンで記述されている。いずれも横方向に出力される。

I want a new pencil case. (単語数6 音節数7)

actutimesemitonef0

Z scoreを算出

(参考)各音節のZ score

Pitch setting 75-600

Pitch setting 100-400

Pitch setting 50-200

なお,外れ値の検出はサウンドエディターのピッチ曲線を参照するのがよいと思われる。

文: I want to be a pharmacist. (単語数6, 音節数8)

こちらはPitch setting75-600なので,設定次第で変わるかも。

Here We Go! 5 の3学期単元構成について

3学期の授業を実施しての,備忘録です。
5年生の3学期に,光村図書出版 Here We Go! 5 のUnit 7 (の後半), 8, 9を実施しました。
Unit 7は “What would you like?” Unit 8は “Where is the gym?” Unit 9は “My hero is my brother.” です。
どの単元も楽しく活動ができます。
Unit 7, 8は,カードや教具を用いて買い物の活動をしたり,教室内の机を並び替えて道案内をしたりと,様々なアクティビティを通じて学習できる単元です。
一方,Unit 9は,あこがれの人についての発表に繋げられる単元です。
3学期はUnit 7→ 9→ 8の順に実施すると,活動中心,発表中心,活動中心の構成となり,メリハリがつき,評価も実施しやすくなると思いました。

部活動における club と team (以前の記事に追記しました)

光村図書 Here We Go! 6 Unit 9 では、中学校生活がテーマとして扱われています。
部活動の表現として、 “team” と “club” があります。
Club
・ art club, computer club, dance club, drama club, kendo club, newspaper club, science club
Team
・ baseball team, basketball team, soccer team, track team, volleyball team

「クラブ」と「チーム」の違いは何でしょうか。
児童に尋ねると、様々な考えと反論がでます。

・ クラブは「文化部」、チームは「運動部」 → 「剣道部」は運動部では?
・ クラブは「屋内」、チームは「屋外」 → 「バスケットボール」「バレーボール」は屋内では?
・ クラブは「個人」、チームは「団体」 → 「陸上部」は個人では?

ALTに確認したところ、部活動は「クラブ」という大きな枠があり、その中の「競技的な (competitive)」ものは「チーム」になると感じる、とのことでした。

では、「剣道は競技では?」という疑問があります。
「剣道は武道 (martial arts) だから、競技とは異なる」との答えでした。
ALTの考えを伝えると、児童も納得できたようでした。

この考えを使うと、教科書に挙げられていない部活にも応用できます。

・ tennis は? → 競技だから “team”
・ table tennis は? → 競技だから “team”
・ judo は? → 武道だから “club”

ちなみに、 kendo はイタリック体で書かれています。理由を尋ねると、「日本語だから」と即答できました。では、「judo は?」と尋ねると、ほとんどの児童は「イタリック体になる」と答えます。
実は、柔道はイタリックになりません。教科書の以前のページに扱われていたのですが、柔道は英語となっていますので外来語扱いにはなりません。

以前用いられていていた We Can! と比較すると、面白いことに気づきます。 Here We Go! では dance club ですが、 We Can! では dance team になっています。児童に紹介すると、「おかしい」という意見が聞かれます。

ALTに尋ねると、「楽しむための団体はクラブであり、競技で勝つための団体はチームだと感じる」との答えでした。
確かに、Here We Go! のイラストは「ダンスを楽しんでいる」感じがあり、 We Can! のイラストでは「同じユニフォームを着て競技に参加している」感じがします。

“Where is the gym?” の授業を実施してみて

光村図書 Here We Go! 5 のUnit 8 “Where is the gym?” の授業を実施して感じたことです。
中学年外国語活動教材 Let’s Try! 2 や, 以前高学年外国語活動で使われていた We Can! 1 では、 “Turn right.” “Turn left.” “Go straight.” しか用いられていません。We Can! 1 では交差点ごとに点があり、 “Go straight.” で点まで移動するという手法で道案内をしています。「右に曲がってください」「左に曲がってください」「まっすぐに行ってください」の3つの表現のみです。

参考
道案内の目印シール
Where is the treasure?

一方、Here We Go! では “Go straight for two blocks.” “Turn left at the second corner.” “You can see it on your right.” 等、表現が増えています。「2ブロック直進してください」「2つ目の角を左に曲がってください」「右側に見えますよ」等、実際の道案内で使われるであろう表現が扱われています。
この単元では、表現のみでなく、概念、語順を指導する必要があります。

まず、「ブロック」という概念が、日本語にはあまりありません。コンパスローズ英和辞典によると、blockとはstreetで囲まれた1区画を指します(下図参照)。

2ブロック先を右折する指示は、 “Go straight for two blocks. Turn right.” となります(下図参照)。交差点と交差点の間は1ブロックなのか、2ブロックなのかが少し分かりにくく、図で見ると「1.5」ブロックに見えますが、自分がいる場所も「1ブロック」に入りますので、2つ先の角は2ブロック先になります。

1ブロック先の(次の)角を曲がるときは、すぐ角ですから “Go straight for one block.” とは言いません。”Turn right.” で伝わります(下図参照)。
※ “one block” は言わない、というのはポイントになります。

では、目的地が次の位置にある場合(下図参照)、どう表現するでしょうか。

右折してから2ブロック先に目的地があるので、右折してから “Go straight for two blocks. You can see it on your left.” となります(下図参照)。図で見ると1.5ブロックに見えますが、2つ目のブロックなので、 “two blocks” になります。

では、目的地が次の位置にある場合(下図参照)、どう表現するでしょうか。右折してから1ブロック目なので、 “Go straight for one block.” は言いません。単に “You can see it on your left.” となります。

「ブロック」の表現を練習させた後、 “Turn right at the second corner.” を指導します。日本語の感覚からすると、「2つ目の角を曲がってください」と言う方が自然に思えます(下図参照)。

簡単そうですが、この表現には3つの難しさがあります。
1つ目として、序数を使うということです。 “One, two, three…” はすぐに言えても、 “First, second, third…” はちょっと考えないと発音しにくい児童が多いです。
2つ目として、日本語は「『2つ目の角を』『左に』曲がってください」という語順ですので、 “second corner” “turn right” の語順で言いがちです(それでも通じますが)。
3つ目として、「語順が逆になる」と意識すると、”Turn right” と言った後、しばらく考えてから “at the second corner.” と言いがちなので、聞いている児童は「1つ目の角?」「2つ目の角?」と混乱します(下図参照)。
“Turn right at the second corner.” は一続きで成立する文なので、途中で切ってしまうと “Turn right.” として認識されてしまいます。

“Turn right at the second corner.” の文は、発音するのには難しさがありますが、聞くだけならこちらの方が簡単です。
「2つ目の角を曲がってください」という言い方は、「ブロック」の表現を練習し、充分に聞いた後、挑戦させる方が負担が少ないようです。

各社の教科書を見てみると、ブロックの表現が使われているのは、Here We go! 5 (光村図書)、NEW HORIZON Elementary! 5 “Where is the post office?” (東京書籍)、 CROWN Jr. 5 “Try 道案内” (三省堂) でした。
“Turn right at the second corner.” (2番目の角)の表現が使われているのは、Here We go! 5 (光村図書)、NEW HORIZON Elementary! 5 (東京書籍)、 CROWN Jr. 5 (三省堂)、 ONE WORLD Smiles 5 “Where is the station?” (教育出版)でした。

「ケン」と「キャーンt」

「できる」「できない」を表す助動詞 “can” “can’t” は、聞き取りが難しい音です。

教科書のリスニング問題で “I can …” “I can’t …” が混じった発話を聞いて「できること」を選ぶ問題では、多くの児童が「分からない」と困惑していました。
何となく、 “can” は「キャン」 “can’t” は「キャント」という音だと思いがちです。ところが「キャント」の「ト」の音がほとんどしないから、難しく思えます。

私はPraatを用いて、 “can” “can’t” の音を提示しました。
まず、 “can” “can’t” が登場する動画を見せました。
以下の動画が秀逸です。

“WHAT CAN YOU DO?”
https://www.youtube.com/watch?v=a91oTyA0Oq8&t=36s

この動画の “I can smile.” をPraatのサウンドエディタで表示したところ、以下のようになりました。

“can” の部分のみ再生すると、「ケン」のように聞こえます。

一方、 “I can’t swim.” を表示すると、以下のようになりました。

“can’t” の部分のみ再生すると、「キャーンt」のように聞こえます。

長さを比較すると、「ケン」は約0.17秒、「キャーンt」は約0.41秒と、約2.4倍の違いがあります。
また波形を見ると、「ケン」は弱く、「キャーンt」は強いです。

つまり、 “can” は「ケン」という音になり、短く弱い音です。
“can’t” は「キャーンt」という音になり、強く長い音です。

日本語でも、肯定するときは普通に話しますが、否定するときは強めに言いますね。
(例:同じ注意をするとき:肯定「廊下を歩きます」 否定「廊下を走りません」)

LongmanのPronunciation Dictionary (Wells, 2008) を確認すると、以下のようになります。
can → strong form [kæn] weak form [kən]
can’t → [kænt] ※アメリカ発音、[kæn] ※子音の前(母音の前もあり得る)
canと違い、弱形はないと明記されています。

“can” が「ケン」、 “can’t” が「キャーンt」で、ある程度近い音になっているといえます。 “can’t” に関しては、「キャーンt」と板書しながら /æ/ 音の発音を聞かせると、児童はかなり近い音を発音できるようになると実感しました。

また「キャント」の「ト」が聞こえにくいのは、次の子音や母音と連結するため、聞こえにくいのではなく、そもそも /t/ の音がないことも分かります。つまり、 “can”  “can’t” の弁別は語尾の /t/ ではなく、母音の音質と母音長で行われていることになります。

Longmanに明記されているように “can” の弱形が「ケン」なので、 “Yes, I can.” のcanは「ケン」ではなく /kæn/ になります。ですので、 “can” は強形、弱形、どちらも練習する必要があります。
「 “Yes, I can.” の “can” が聞こえたら『できる』の意味だ」と考えていると、確かに  “I can…” “I can’t…” が混在している文で児童は混乱してしまいますね。

なお、Longmanによるとcan’t のイギリス発音は[kɑːnt]で、この音も動画の中に登場します。

Wells, J. C. (2008). Longman pronunciation dictionary (3rd ed). Pearson/Longman.