身近なアルファベット探し

私の勤務校の中や近くで見つけたアルファベットです。

AEDは、Automated(自動) External(外部=体外式) Defibrillator(除細動器)の略です。

“Safety Evacuation Area”

“FIRE HYDRANT” 全て大文字ですね。

○○○ Elementary School 「前」は省略されていますね。

企業のロゴは大文字が多いですが、こうしてみると身近に小文字も結構使われていることが分かります。

ことばを削る

英語専科はエネルギーが要ります。

こちらはずっと行っているいつもの教科ですが、子供たちにすればたまにしかない楽しい授業。
ハイテンションで英語教室にきてくれます。楽しく外国語活動に取り組んでくれるのはとてもうれしいのですが、とにかく体力が要ります。
1時間子供たちが大盛り上がりの授業をすれば、体力を消費します。

学級担任をしていたときは、1時間ずっと大盛り上がりの授業はそうそうありませんでした。じっくり計算をさせたり、音読をさせたり、思考を深める授業がたくさんあり、その中の一部です。

しかし、英語専科は大盛り上がりの連続です。
英語専科を始めてしばらくは、とにかく疲弊しきる毎日でした。
放課後は何も手が着かず、週末はエネルギーを回復させるのに専念するのみ。

「これでは身体が持たない」と思いながら1年半。エネルギーを節約する方法がいろいろ見つかってきました。

その中の一つは、言葉を削ること。
極力こちらから指示を出すことを削ります。

例えば、 “Repeat after me.” は不要。
フラッシュカードを発音しながらめくり始めると、子供たちも自然と反復します。
カホンを叩きながら発音すると、児童も反復練習を始めます。
プリントを配るときに、「プリントを配ります。なぞって、その後写しましょう。」等も不要。
黙ってプリントを配れば、自然と子供たちは作業に取り組みます。
電子黒板を使ってコンテンツを見せる、或いはビデオ映像を見せるとき、何も指示は必要ありません。映像が始まれば、子供たちは自然と見始めます。

不思議なことに、言葉を削るとこちらの指示がより通るようになり、落ち着きが増したことを感じました。

向山洋一先生は、授業の原則の第3条に「簡明の原則」を挙げられています(向山,1985)。これまでも言葉を削ることを心がけてきたつもりでしたが、まだまだ削る余地がありました。

向山洋一. (1985). 授業の腕をあげる法則. 明治図書出版.

 

Praatでピッチ曲線を見てみよう

Praatでピッチ曲線を見てみましょう。
“How are you?” を録音してみましょう。
録音の操作は、Praatで逆再生をしてみようの、「1. Sound untitled」が表示されるところまで同じです。

ピッチ曲線を表示し、音の高さを見てみます。
以下の項目のチェックを入れます。
「Pitch」→「Show pitch」
以下の項目のチェックを外します。
「Spectrum」→「Show spectrum」
「Intensity」→「Show intensity」
「Formant」→「Show formant」
「Pulses」→「Show pulses」

上の画面は波形 (waveform) を表しています。
下の画面に表示されている青い線がピッチ曲線です。
ピッチ曲線は音の高さを表します。横軸が時間、縦軸が周波数です。

“How are you?” は、真ん中がbe動詞の3語文です。内容語は “how,” 機能語は “are” と “you” ですので、理屈からすると “how” のピッチが最も高くなりそうですが、Wells (2006) によると、真ん中がbe動詞の3語文はなぜかbe動詞に焦点が当たり、最もピッチが高くなります。
このパターンは、”Who is she?” “What is it?” 等、小学校外国語活動で頻出します。
いかがでしょうか? “are” のピッチが最も高くなっているでしょうか?

次に、「Spectrum」→「Show spectrum」のチェックを入れましょう。
すると、スペクトログラムが表示されます。スペクトログラムは、横軸に時間、縦軸に周波数が表示され、色の濃淡が強さを表しています。

“How are you?” の母音 /au/ /ɚ/ /u/ や、聞こえ度 (sonority) の高い流音 /j/ は濃度の濃い部分があり、線のように見えますね。ここからフォルマントを算出すると、調音点の位置を推察することもできます。

次に、問い返す言い方の “How are you?” を録音しましょう。相手から尋ねられて “I’m fine.” と答えた後、「あなたはいかがですか?」と問い返す際、 “you” に対比的焦点があたり、ピッチが高くなります。

いかがでしょうか? “you” のピッチが最も高くなっているでしょうか?
この状態でスペクトログラムを表示すると、音の高さは先ほどと異なりますが、模様はほとんど同じであることが分かります。

ところで、 “you” の先に不自然な線があることに気づきましたでしょうか。

ピッチとは声帯の振動数(F0)ですが、音には倍音があるので、正確に算出するのは難しいようです。ProsogramというPraat scriptを用いると、人間の聴覚に近いピッチ曲線を算出することができます。こちらの記事のピッチ曲線は、Programで作成しています。

Wells, J. C. (2006). English intonation : an introduction. Cambridge: Cambridge University Press.

「ん」はn?

訓令式ローマ字では、「ん」は「n」ですね。
パソコンで入力する際、「nn」と入力すると「ん」と変換されます。
ところで、「ん」の音は、/n/ でしょうか?
実は、ヘボン式ローマ字では「m」と記述することがあります。
「p」「m」「b」の前です。なぜ「m」になるのか、実験をしてみましょう。

Praatで逆再生をしてみようの要領で、まずは「えん」と録音して、逆再生してみましょう。「えん」は /en/ ですから、逆再生すると /ne/ になるはずです。
実際、「ね」(/ne/)と聞こえます(「んねっ」のようにも聞こえますが・・・)。
ですから、「ん」は /n/ で間違いなさそうです。

次に、「あんぱんまん」と録音して逆再生してみましょう。
「あんぱんまん」には「ん」が3つあります。/anpanman/ だとすると、逆は /namnapna/ (/なむなぷな/) になりそうね。
ですが、逆再生してみると、/mammapma/ (まんまぷま)になります。/n/ が全て /m/ になっています。

「あんぱんまん」の「ぱ」「ま」は、「p」「m」なので、ヘボン式ローマ字のルール通り、その前の「ん」は “m” と表記します。ですので、「あんぱんまん」は、 “ampamman” となります(ちなみに、「ヘボン式変換君」のサイトからヘボン式表記を確認することができます)。

ヘボン式表記を逆再生すると、/nammapma/ (なんまぷま)になりそうです。しかし、実際に逆再生してみると /mammapma/ (まんまぷま) になっていました。
確かに、「ぱ」「ま」の前は /m/ の音になっていることが、逆再生から確認できます。では、「まん」の反対が /nam/ ではなく、 /mam/ になっているのはなぜでしょうか。

理由は2つありそうです。
「まん」は、両唇鼻音 /m/ から音が始まるので、唇が閉じた状態から音がスタートします。次に来る「ん」では再度唇が閉じるのが楽なので、自然なようです。
また、「あんぱんまん」は「ん」が1文字おきに3連続します。「ん」「ん」「ん」のリズムなので、「m」「m」とくると、3つめは「n」ではなく、1つめ2つめにつられて「m」になってしまいます。
ですので、 /man/ ではなく、 /mam/ となるようです。

日本語の「ん」は、他にも /ŋ/ (eng)の音等もあります。 /ŋ/ は、英語では “sing” の語末音です。 /ŋ/ は軟口蓋鼻音ですので、軟口蓋音閉鎖音 /k/ /g/ の前に現れます。例えば、「参加」(/saŋka/)「版画」(/haŋga/) 等です。

Praat で逆再生してみよう

音声分析ソフト Praat の基礎です。
「うそ」の逆再生に挑戦してみましょう。
「うそ」の逆は何でしょうか?「そう」になるでしょうか?Praatで実験してみましょう。
Praatを起動すると、Praat ObjectsとPraat Pictureの2つの画面が起動します。今回は、Praat Objectsしか用いません。ですので、Praat Pictureは閉じても結構です。

Praat Objectsの「File」をクリックし、「Record mono Sound」を選択しましょう。キーボードのショートカットをする場合は、「Ctrl R」(macはCmd R)です。

すると、SoundRecorderが起動します。この画面で「Record」をクリックすると録音ができます。「うそ」と録音をしましょう。

録音を終えるときは「Stop」をクリックします。次に、「Save to list & Close」をクリックします。

すると、Praat Objectsウィンドウに「1. Sound untitled」が表示されます。「1. Sound untitled」が選択された状態で、「View & Edit」をクリックします。

「1. Sound untitled」が表示されます。durationをクリックすると、録音した音声が再生されます。

「うそ」の音声部分のみを選択します。選択部分のdurationをクリックすると、選択部分の音声を確認することができます。

この状態で「View」→「Zoom to selection」を選択すると、「うそ」の音声部分が拡大表示されます。キーボードショートカットは「Ctrl N」(macはCmd N)です。

いよいよ逆再生をしてみましょう。「Edit」→「Reverse selection」です。キーボードショートカットは「Ctrl R」(macはCmd R)です。

すると、逆再生されます。「うそ」の反対は「そう」ではなく、「おす」です。/uso/ の反対なので、 /osu/ になるのですね。「うそ」の「そ」は、/s/ と /o/ の2つの音素から構成されています。

キーボードショートカットの「Ctrl R, N, R」(macはCmd R, N, R)を使うと、簡単に操作できます。
「うそ」の次は、「あられ」に挑戦しましょう。「あられ」を逆再生すると・・・?

オールイングリッシュ授業の意義とは

英語の授業を英語だけで行う、オールイングリッシュの意義は何でしょうか。
高校では、「授業は英語で行うことを基本とすること」が学習指導要領 (MEXT, 2009) に明記され、平成21年3月に告示、平成25年より年次進行で実施されました。小学校、中学校は新学習指導要領が全面実施されますので、全学年一斉に変わりますが、高校は年次(学年)進行ですので、1年生のみ実施され、2年生、3年生は旧学習指導要領のままになります。
平成30年3月に告示された高校の新学習指導要領 (MEXT, 2018) でも「授業は英語で行うことを基本とすること」が明記されています。
平成29年3月に告示された中学校の新学習指導要領 (MEXT, 2017) にも、「授業は英語で行うことを基本とすること」が新たに記載されました。中学校の授業も、令和3年度からは基本的に英語で行うことになります。中学校は全学年一斉に実施されます。
なぜ授業を英語で行うことを基本とするのかは、「生徒が英語に触れる機会を充実するとともに,授業を実際のコミュニケーションの場面とするため」とされています。

「授業は英語で行うことを基本とすること」に対する賛否は両論です。岩井先生の論文(岩井, 2019)を拝読し、高校でのTEE (Teaching English in English) の現実を実感し、学習指導要領の方針についてクリティカルに考える機会となりました。

私は、英語で指示を出したり、褒め言葉をかけたりする All in English の授業に賛成です。小学校でも基本的に All in English の授業を行っています。勿論、込み入った指示や、英語で伝えられない情報があるときは日本語を使います。賛成である最も大きな理由は、より充実した授業に繋げられるからです。

向山先生は「授業の原則十ヵ条」の第三条に「簡明の原則」を挙げられ、指示や説明を短くすることの大切さを具体的に記述しています(向山, 1985)。指示や説明を短くすることの重要性は、日々の授業で実感しています。不要な言葉を削ることを意識し、実践した上でクラスルームイングリッシュを用いると、指示は短く、分かりやすくなります。

英語で指示を出すのに、英語母語話者のように流暢な英語が必要な訳ではありません。むしろ、ALTが普段通りの英語で、英語だけで指示をすると「分からない」と児童はパニックになってしまいます。とにかく英語で指示を出せば良いのなら、英語母語話者が英語教師になればよいということになってしまいます。日本人英語教師でも、思いつくまま英訳し、指示をすると「先生、何言っているか分からない」と児童に思われます。そして、指示を聞かなくなってしまいます。言葉を受け入れない状態です。
英語教師に必要なのは、児童が分かる英語を適切に用いる技量です。それには、日本語でも英語でも、不要な言葉を削り、分かりやすい言葉を選択して、組み合わせる努力が必要です。

英語教室には3年生〜6年生の児童が来室しますが、「楽しく学ぼう!」と高いテンションで来る児童がとても多いです。うれしい限りですが、高いテンションの児童に的確に指示を出すためには、言葉を極力削る工夫が必要になります。言葉を削っても教師の意図が伝わるようになると、オールイングリッシュでも授業が成立します。しかもテンポが上がり、児童の活動が増えます。

説明をする際は、児童と手本を示すことで、伝えられることが多いです。デジタルコンテンツを用いて視覚から理解させる場合、言葉が必要ないこともあります。実際に授業をしていると、 “repeat after me.” はいりませんし、 “please look at the blackboard.” 等も使いません。なくても授業が成立する言葉は、極力削ります。

「簡明の原則」を取り入れた上でのTEEなら、児童に「英語を触れる機会」を増やすことができますし、「授業を実際のコミュニケーションの場面」にすることもできます。そして、「英語だけで授業が理解できた!」と児童に自信を持たせることに繋がると思っています。

ただ、言葉を削る、分かりやすい、シンプルな指示を出すにも、教師の学習は必要です。英語として適切な表現だったか、授業後に振り返ること (refrection) は重要ですし、クラスルームイングリッシュの発音、特にプロソディは練習が必要です(先ほど不要と書きましたが、例えば blackbaord はイントネーションによって複合語「黒板」と名詞句「黒い板」と、意味が変わってきます)。
「実際のコミュニケーションの場面」を適切に再現するためには、教師自身が授業に必要な英語学の要素を学ぶことも大切だと思っています。

岩井千秋 (2019). 「高等学校指導要領に謳われた「英語の授業は英語で」の結果と影響,そして課題」『JACET関西紀要』(21), 1–22.
MEXT (2009). 高等学校学習指導要領,第3章3(エ)
MEXT (2018). 高等学校学習指導要領,第3款1(6)
MEXT (2017). 中学校学習指導要領,3(1)エ
向山洋一 (1985). 『授業の腕をあげる法則』明治図書出版.

英語の挨拶あれこれ

Let’s try! での挨拶は、 “How are you?” の返答として、 “I’m fine.” “I’m hungry.” “I’m sleepy.” “I’m happy.” が扱われています。

しかし挨拶として “I’m sleepy.” と答えると、失礼に当たる可能性があります。
親密な仲ならともかく、一般的な関係ですと「私と一緒にいるのは退屈なのかな」と思われかねません。
挨拶ですので、ネガティブなことは普通言わないですね。

そこで、 Let’s try! の表現が定着した後、ポジティブな表現を教えます。
“I’m fine.” “I’m good.” “I’m O.K.” “I’m well.” です。
ALTが “How are you.” と尋ねたとき、児童はいつもポジティブな返答をするようになりました。

さらに、 “What’s up?” “Nothing.” も扱いました。
ちなみに “What’s up?” の fist bump は、Hello song の振り付けにも使えます。

今は、”How’ve you been?” にも取り組んでいます。

まずは、 “How have you been?” の省略形で、 “How’ve you been?” という固まりのまま教えました。
ある程度定着したところで、 “How have you been?” に移行しました。省略しないのは難しいかも、と心配しましたが、あっという間に定着しました。
答え方については、本来は “I’ve been good.” ですが、まずは “good” とだけ答えるようにしています。
こちらも、 “I’ve been good.” にも挑戦させてみたいです。

気まぐれシェフゲーム

“What would you like?” の表現を定着させるため、「気まぐれシェフゲーム」に取り組んでいます。

ルール
① 児童はペアになり、「シェフ」と「客」になります。
② シェフは、Wc can! 巻末カードから好きなカードを5枚選びます。
③ シェフは、 “What would you like?” と客に尋ねます。
④ 客は、 “I’d like hamburger.” 等と、注文します。
⑤ シェフが hamburger のカードを持っていたら、客に渡します。持っていない場合、客はカードをもらえません。カードを渡した場合、すぐに1枚持ちカードに補充します。
⑥ シェフは3回 “What would you like?” と尋ねます。3回のやり取りを終えると、ペア交代です。
⑥ 次々とペアを変えていきます。一通り終えた段階で、ゲーム終了です。最も持ちカードの多い客の勝ちとなります。

ゲームを通じて、”What would you like?” “I’d like…” の表現を定着させることができます。

英字新聞 Japan News の活用

英字新聞の The Japan News を購読しています。

日頃英語を使う機会が少ないので、新聞くらいは英語でと思い、毎朝読んでいます。

月に2回(火曜日)、 News in Pictures が掲載されます。
新聞の真ん中の紙面で、見開き2ページです。
話題になっているニュースの特集が掲載されます。

例えば、2020年1月14日の特集は、オーストラリアの山火事でした。
“Staggering scale of Australia’s wildfires” という見出しです。
この記事を見て、初めてオーストラリアの山火事について知った児童もいました。

2020年1月7日は、新年を祝う様子が掲載されていました。
“World celebrates dawn of a new decade” というタイトルです。
ちょうどきりの良い年だから、このタイトルなのですね。

写真が中心なので、子供たちにもある程度理解することができます。
また、それとなく英文に興味を持ってほしいとおもっています。
掲示しておくことで、子供たちもニュースに関心が持てるようです。

マジックe

フォニックスに「マジックe」という概念があります。
こちらのサイトがとても分かりやすかったです。
英語の発音における「マジックe」の性質と使いこなし方

小学生にとって身近な「マジックe」とは何か、考えてみました。

アルファベットの “a” (/eɪ/)
age(/eɪdʒ/)
face(/feɪs/)
fake(/feɪk/)
take(/teɪk/)

アルファベットの “i” (/aɪ/) ※発音記号は Wells(2008)より
bike(/baɪk/)
five(/faɪv/)
nine(/naɪn/)
price(/praɪs/)
write(/raɪt/)

アルファベットの “o” (/oʊ/) ※発音記号は Wells(2008)より (Gen Am)
home(/hoʊm/)
joke(/dʒoʊk/)
phone(/foʊn/)
rose(/roʊz/)
smoke(/smoʊk/)
stove(/stoʊv/)

アルファベットの “u” (/ʒuː/)
June(/dʒuːn/)

スポーツメーカーのナイキも、マジックeになっていますね。
Nike

Wells, J. C. (2008). Longman pronunciation dictionary (3rd ed). Pearson/Longman.